俺と
血液検査だけでなく、MRI検査もするらしい。
採血はたった一滴である。造影剤を静脈に注射され、MRI装置に潜り込む、
過去に何回か撮ったことがあるので慣れたものだ。
「動かないで下さいよ。あと5分で済みます」
ヘッドフォンからその言葉を聞いたのが最後だった。
そこで意識が薄れる……
「レイジ、レイジ」
「ここは? どうした
ああ、ここは『迷いの森』か。また迷い込んだのか。夢か。
「ひさしぶりじゃの、第21代にてして令位守護者の早神令時」
目の前の翡翠ベンチに深草色のワンピースを着た少女が座っていた。
『迷いの森』ではない、
起き上がろうとしたが起き上がれなった、実体がなかった。
「
あいかわらず、全く動けない。自分の言葉が届いているのかさえわからない。
「わしは、こうして満月の次の日にこのベンチに座ってお主を待っておる。
心配しなくても大丈夫じゃ、こちらには、
いつのまにか、
それを見て安心できたのか、意識が途切れるような感覚に陥っていく。
「待て、待つのじゃ。こちらでは、黄金甲虫スカラベ王が居なくなり、各地の昆虫族が無秩序に暴走しておる。甲虫スカラベの子孫がお主の世界に時空位相されておる。
薄れいく意識のなかで、「必ず迎えに行くと」思念波を
「ああ、わかってるよ、いつもここで待ってるから」
「早神さん、お疲れ様です。終了しました」
「レイジ、レイジ」
意識が戻った。ドームから出て来たら、
隣の部屋が何か騒がしい。
「あれ、
「気がついたら、ココニイタ。
ああ、
「
突然、ドームから居なくなって大騒ぎですよ」と技術師が言った。
「検査結果が楽しみだな。時空位相の方法も見えてきたような気がする」

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