湖面中央でレアフルと黒い雲の統率者の飛蝗が戦っていた。双方の最大武器は翅を震わせ衝撃波を発生させることであるが、それぞれの翅は
「膠着状態のようだな」変幻を解いた少女の
「『神炎皇のブレス』であの二匹とも、灰にできるのだがな」俺はもどかしかった。
昆虫族は一掃しなければならない。
しかし、この
思念波と異質な思念波である疑似思念波を統一しなければならないのだ。
「レアフルも理解しているはずだな」俺は湖面中央で対峙しているレアフルに思念波を送った。
「おうよ、第二十一代令位守護者の令時殿」レアフルが疑似思念波で相槌を打った。
前回の『時空の神宝』と『反時空の神宝』による対消滅は何を意味していたのだろうか。
当初、その対消滅によってフィボナッチ数列年に発生する時空連環を停止させることができると思っていたがそうではなかったのか。
ほんとうに対消滅したのだろうか? もしかして神宝はまだあの場所に存在しているのではないか。
疑似思念波を理解しているレアフルをあの場所に連れていかなければならないのではないか?
もう一度、『時空の神宝』と『反時空の神宝』とそのエネルギである『思念波』と『疑似思念波』を合わせる必要がある。この統一こそがフィボナッチ数列年に発生する時空連環を停止させる方法なのだ。
「レイジ、また思考にふけっているナ」変幻を解いた少女の
「やっとわかったよ、『思念波』と『疑似思念波』を融合できる存在が」俺は
あの地下七階での最奥の一番広い部屋での最終局面で必要だったのは伝説の十夜族始祖の
彼女は、この時代で『思念波』と『疑似思念波』を両方理解できるのだ。
レアフルと共に、
「レイジ、そんなに見つめたら照れるヨ」
「ああ、
十夜族の中で
「
「久々じゃの、令時が我の背に乗るのは。仕掛けるのか」
「ああ、このダブルショットガンでな。この世界では魔弾は充足できるし、さらに翡翠ナノ粒子でさらに威力が増せることが分かったしな。しくじったら
「やっと、我を頼るか」
「ああ、お前しかいない」
「そうか」
『龍神風のブレス』によって湖面まで開けた道を黒い疾風が駆け抜けていった。
それは漆黒の獣とその背にダブルショットガンを背負った男のように見えた。

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